「気」について

「気」とは、、、

 

目に見えないけど感じられる気配や気運、雰囲気とか

自然や世の中の動きを表す、天気や景気、人気とか

人の心や体の状態や働きを表す、元気や勇気、気合など

 

といった、「目に見えないけれど、確かにある働き」です。

 

中国思想では、「気」は宇宙から人間、あらゆる存在に至るまで、万物を生み出し、動かし、つなげている根本的な働き、とされています。つまり物質も気で成り立ってて、物質じゃないのも気で成り立ってると。

 

 

◇東洋医学での「気」

 

東洋医学では、中国思想の「気」という大宇宙的な概念を、人体の働きに応用し「生命活動のエネルギー」として具体的に扱っています。

※気の役割

 

気にはいろいろな役割があります。体を動かす力になったり、体を温めたり、外からの病気を防いだり、血や水分を体の中で巡らせたり、…。例えば、新陳代謝や、体温を維持するのも気の働きですし、風邪をひきにくい体をつくるのも気の力と考えられております。

 

※気の作られ方、巡らせ方

 

気は、主に飲食物からの栄養と、呼吸で取り込む空気からつくられます。東洋医学では、飲食は「大地の気」、呼吸は「天空の気」を取り込むといわれています。ですので、日々の良質な食事と深い呼吸はとても大切なんですね。

 

そして、気は「つくられる」だけでなく「巡る」ことも重要です。いくら十分にあっても、流れが滞れば体の隅々に届かず、不調の原因となります。

 

 

その「気」を巡らせるためには、日々の「上機嫌」と「運動」が欠かせません。楽しいことや嬉しいこと、達成感などは気の巡りを伸びやかにし、呼吸も深まり、自然と活力が湧いてきます。適度な運動もまた全身の流れを整え、気を巡らせる大きな助けとなります。

 

逆に、不機嫌や不満、ストレス、そして運動不足が続くと「気」の流れが悪くなり、イライラ、胸のつかえや胃腸の不調、肩こりや頭痛といった症状につながることがあります。

※気の病

 

東洋医学での「気」は生命活動のエネルギーですので、その働きが乱れると不調につながります。代表的な「気虚」と「気滞」をご紹介します。

 

・気虚(ききょ)=気の不足
体を動かすエネルギーが足りない状態です。疲れやすい、風邪をひきやすい、声に力がない、食欲がわかない、動くと息切れする…といった症状が出やすくなります。休養不足や心身の消耗が続くと起こりやすいとされます。

 

・気滞(きたい)=気の滞り
エネルギー自体はあっても、流れが悪くうまく巡らない状態です。胸やお腹の張り、ため息、のどの詰まり感、便秘やガスの停滞、肩こりや頭痛などがよくみられます。特にストレスや不満、感情の抑え込みなど、心の影響を受けやすいのが特徴です。

 

 

例えば「やる気が出ない」という一見同じ悩みでも、気が不足しているのか、気が滞っているのかによって、原因も治療の仕方もまったく異なります。鍼灸ではその違いを見極め、気を補ったり巡りを整えたりして、体全体のバランスを取り戻していくんです。