
東洋医学では、生命を支える基本的な要素を「気・血・水」として大きく捉えます。
そのうちの「水(すい)」は、血液以外の体液全般にあたり、汗や涙、唾液、リンパ液、関節を潤す液などを含みます。ちなみに「気・血・津液(しんえき)」と表現されることもありますが、ここでいう津液は水と同じものを指します。
※水(すい)の役割
水は体のすみずみを潤し、乾きを防ぎ、体温を調整し、関節の働きをなめらかにするものと考えられています。
例えば、皮膚や粘膜のうるおいを保ち、目や口の乾きを防ぐのも水の働きですし、膝が痛まず歩けるのも水のおかげです。
※水(すい)の作られ方と巡らせ方
水は、飲食から得られる水分や栄養をもとに体の中でつくられます。つくられた水は全身に巡り、必要なところを潤し、代謝されたのち、汗や尿などとして体の外へ排泄されます。
この巡りを健やかに保つには、余分な水分がしっかり排泄されることが大切です。ちなみに固形物である便の排泄も、水の巡りに深く関わっていて、とても重要な役割を担っているんです。
※水(すい)の不調
・水の不足
脱水状態なので、ポカリやアクエリ飲んで回復します。
・陰虚
ただの「水不足」ではなく、「血不足(血虚)」も相まって、体を冷ます力(陰)が弱り、相対的に熱(陽)が出てしまうのが陰虚の特徴です。
・痰湿(水滞)
水がうまく巡らずに停滞してしまう状態です。むくみ、頭の重さ、めまい、吐き気、体のだるさ、痰がからむなどがよく見られます。特に湿気の多い環境や食生活の乱れが要因となります。
例えば、陰虚で熱がこもっているところに痰湿が加わると、体の中が高温多湿状態になり、症状が多岐にわたってしまいます。鍼灸では、このようなときに陰を補って冷ます力を養いながら、痰湿をさばいて蒸し暑さを和らげるように調整していきます。