メニエール病

 

メニエール病とは、内耳のリンパ液が過剰にたまり、圧が高まることで、めまいや耳鳴り、難聴などの症状が繰り返し起こります。はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、ストレスや過労、睡眠不足などの影響によって、症状が悪化しやすいとされています。

 

◇主な症状

 

耳鳴り

「ブーン」「ゴー」など、低い音が耳の中で鳴り続く感じがします。

 

難聴

音が聞こえにくくなり、とくに発作のときに悪化しやすいのが特徴です。

 

耳閉感

プールで耳に水が入ったような、ふさがった感じやこもった感じが続きます。

 

・めまい

主にぐるぐる回るような回転性のめまいが数分から数時間続き、その頻度は週に数回から年に数回までとさまざまです。

 

・悪心・嘔吐

めまいに伴って吐き気を感じたり、実際に吐いてしまうこともあります。

 

※耳鳴り・難聴・耳閉感などの聴覚症状は、主にめまいの前後や発作中に悪化し、めまいが治まるとともに軽快する傾向があります。これらの症状は初期には片側に現れますが、進行すると両側に及ぶこともあります。 

 

 


◇「メニエール病」の鍼灸治療

※メニエール病によく使うツボ(経穴)

 

外関は、三焦経と陽維脈という経絡上に位置し、いずれも耳の症状に効果的とされています。
東洋医学における三焦は、元気と津液(リンパ液を含む水分)の通り道とされ、体内の水液循環を整える重要な役割を担います。

 

「陰陵泉」と「豊隆」は、消化器系に関わるツボで、主に水分代謝を整える作用があります。メニエール病におけるリンパ液の停滞も、水分代謝の滞りと捉えることができ、これらのツボを使って循環を促すことで、症状の緩和を図ります。

 

「翳風」と「天窓」は、耳の感覚を司る神経や、耳周囲に血流を送る血管が集まるポイントです。翳風の「翳」は扇を表して耳の形を、「風」は耳鳴りを意味するとされます。天窓の「天」は頭、「窓」は耳の穴を指し、いずれも耳と深い関わりをもつ名称です。

東洋医学では、メニエール病の主な病因を「痰湿(たんしつ)」と考えます。痰湿とは、本来体内を巡るはずの津液(水分)がうまく代謝できず、停滞して生じた病理産物です。
この痰湿が頭部や耳に影響を及ぼすことで、めまい・耳鳴り・耳閉感・難聴といった症状が現れるとされており、その背景には五臓六腑の機能失調が関与しています。

 

・脾虚湿盛(ひきょしっせい)
東洋医学で「脾」は、消化と水分代謝を担う重要な臓腑です。この働きが弱まると、水分をさばききれずに体内に「湿」がたまり、やがて粘性を帯びて「痰湿」となります。過労や冷飲、甘い物・脂っこい食事、慢性的な疲労などが脾を弱らせ、痰湿が内生しやすくなる原因となります。

 

・肝脾不和(かんぴふわ)
メニエール病の背景には、ストレスや情緒の乱れによって「肝」の気を巡らせる働きが乱れ、それに伴い「脾」の機能が低下しやすくなります。また、肝の機能失調は気を上昇させやすく、イライラしやすくなるほか、痰湿を頭部に停滞させる要因にもなります。

 

・腎虚

「腎」は水分代謝の根本を担う臓であり、さらに「腎」は耳の機能とも深く関係しています。寝不足、過労、加齢といった負荷は腎の精気を消耗し、「腎虚」となります。腎虚になると水をさばく力が低下し、痰湿が身体に残りやすくなるだけでなく、耳鳴りやめまいといった症状の長期化・慢性化にもつながります。

 


当院では、以上のような考え方をふまえたうえで、問診と全身の状態を確認し、気・血・津液、五臓六腑、経絡のバランスを総合的に判断します。その上で、鍼や灸を用いて適切なツボ(経穴)に刺激を加えることで、メニエール病の改善を目指していきます。

 

「メニエール病」でお困りの方はご予約、またはお気軽にご相談ください。

 

 

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