過敏性腸症候群

 

日本人の約10〜20%が抱える「過敏性腸症候群(IBS)」は、腸検査では異常が見つからないものの、腹痛や腹張、便通異常(下痢・便秘)を慢性的に繰り返す疾患です。この症状はストレスの影響を受けやすく、自律神経の乱れが大きく関与していると考えられています。

 

◇症状

 

1. 腹痛や腹張

腸の動きに異常が生じることで腹痛や張りを感じますが、排便後にこれらの症状が軽減するのが特徴です。

 

2. 便通異常

便秘や下痢、または便秘と下痢の混合の症状がみられます。

 

3. 膨満感やガスの増加

腸内ガスが溜まりやすく、お腹の張りやげっぷ、放屁が増えることがあります。また食後に膨満感を強く感じることもあります。

 

4. ストレスによる症状の悪化

ストレスや緊張が症状を悪化させる傾向があります。
試験や会議前に腹痛や下痢になるなど、心理的要因が影響しやすいです。

 

5. その他の随伴症状

吐き気、頭痛、倦怠感、めまい、動悸、睡眠障害など自律神経の乱れで生じる症状が伴う場合があります。

 

 

◇鍼灸の効果

 

過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスに敏感に反応しやすく、自律神経の交感神経が優位な状態が続いている方に多く見られます。そのため、心配事や不安がやわらぐことで、腹痛や下痢・便秘といった症状が落ち着くケースも少なくありません。

腸の動きや分泌は自律神経によって調整されているため、ストレスを和らげ、自律神経のバランスを整えることが、IBSの症状改善に大きく関わります

 

鍼灸には、自律神経を調整し、腸の過敏な反応や緊張を和らげる効果があり、過敏性腸症候群による不快な症状の軽減が期待できます。

 

◇東洋医学で診る「過敏性腸症候群」

 

東洋医学では、このような症状は主に「脾(ひ)」や「肝(かん)」の機能失調が関与していると考えられます。

 

・肝気鬱結 → 肝脾不和

ストレス、怒り、抑うつ、不安などの情志の影響によって肝の機能が失調します。肝は本来、気の流れをスムーズに調整する働き(疏泄)を持っていますが、その機能が失調すると、気が停滞し、「肝」と密接に関係しているとされる「脾」に悪影響を及ぼします。「脾」は主に消化器系の働きを担っており、気の巡りが滞ることでその機能が低下します。その結果、腸の蠕動運動が不安定になり、消化不良、腹部膨満感、腹痛、下痢や便秘などの症状が現れます。

 


 当院では、以上の視点を踏まえながら、丁寧な問診と全身の状態を確認し、気・血・津液五臓六腑経絡のバランスを総合的に判断します。その上で、鍼や灸を用いて適切なツボ(経穴)に刺激を加えることで、「過敏性腸症候群」の改善を目指していきます。

 

「過敏性腸症候群」「原因不明の消化器症状」でお困りの方はご予約、またはお気軽にご相談ください。

 

 

>>ご予約問い合わせ<<